この記事を書いた人

日本産科婦人科学会産婦人科専門医・指導医、日本女性医学学会認定女性ヘルスケア専門医、日本女性骨盤底医学会専門医、母体保護法指定医、日本がん治療認定医機構 がん治療認定医、日本女性心身医学会認定更年期指導士、IFCPC認定コルポスコピストtrainer認定資格などの資格を持ち、医師として約20年医療現場に立つ。

2027年春ごろに兵庫県にてクリニック開業予定。

骨盤臓器脱について

骨盤臓器脱とは?

骨盤臓器脱(こつばんぞうきだつ)とは、骨盤の中にある臓器――膀胱、子宮、直腸などが、本来の位置から下がり、腟の中や外に飛び出してくる病気です。これは、骨盤の底を支えている筋肉や靱帯(骨盤底筋群)が弱くなることで起こります。

女性に多い疾患で、特に出産経験がある方や、加齢・閉経によって女性ホルモンが低下した方に多くみられます。重いものを持つ習慣、慢性的な咳、便秘などで腹圧がかかる生活も、発症リスクを高める要因です。

骨盤臓器脱の症状

骨盤臓器脱の主な症状は、「何かが腟から出てくる感じ」「腟の中に丸いものが触れる感覚」です。違和感や異物感から始まり、進行すると座るときや歩行中に圧迫感を覚えるようになります。

そのほかにも、以下のような症状がみられることがあります。

  • 尿もれや排尿困難
  • 頻尿や残尿感
  • 便秘や排便困難
  • 下腹部や腰の重だるさ

症状は、日中の活動中や長時間立っているときに悪化しやすく、夜間や横になっていると軽くなる傾向があります。

骨盤臓器脱は何科を受診?

骨盤臓器脱の症状に気づいたら、婦人科の受診が第一選択です。特に産婦人科では、出産や加齢に関連した骨盤底の問題に対応できる体制が整っており、スムーズな診断と治療につながります。

一部の症状によっては泌尿器科や肛門科との連携が必要なこともありますが、まずは婦人科で全体像を診てもらうことをおすすめします。

骨盤臓器脱の診断と専門医について

骨盤臓器脱の診断には、問診と内診が基本です。必要に応じて、超音波検査やMRI、排尿・排便の機能検査などを行うこともあります。

当院でも初期診断・保存療法のご相談を承っており、必要に応じて手術対応可能な連携医療機関をご紹介いたします。

骨盤臓器脱の手術と治療方法

手術後は、多くの方が「違和感がなくなった」「排尿・排便が楽になった」と感じられるようになります。ただし、再発防止のためには術後の生活習慣がとても重要です。術後数週間は無理をせず、重いものを持たない、長時間立ちっぱなしにしないなどの注意が必要です。

また、骨盤底筋のトレーニングを継続することで、再発リスクを下げることができます。必要に応じて定期的な診察を受けながら、長期的に体をケアしていきましょう。

骨盤臓器脱の手術後について

軽度の骨盤臓器脱であれば、生活習慣の見直しや骨盤底筋体操で進行を防げることがあります。また、腟内に「ペッサリー」と呼ばれる器具を入れて、臓器の下垂を物理的に支える保存療法も一般的です。

症状が重く日常生活に支障が出ている場合には、手術による治療が選択されます。手術方法には、腟式手術、腹腔鏡手術、ロボット支援下手術などがあり、脱出している臓器の種類や程度、年齢や体力、今後の妊娠希望の有無などを考慮して選ばれます。

骨盤臓器脱の症状チェック

以下のような症状がある方は、骨盤臓器脱の可能性があります:

  • 腟に何かが触れる感じがある
  • 長時間立っていると腟が重くなる
  • トイレが近い、出しづらい、残尿感がある
  • 便秘が続く、排便時に力みが必要

これらの症状が気になる場合は、放置せずに婦人科を受診して相談することをおすすめします。早期に対処することで、進行を防ぎ、快適な生活を取り戻すことができます。